小渕尊史著
『空海密教と普遍構造』
9784866440408 C0015
9600円 税込10,560円
発売 : 2025年1月6日
自心の鏡中に於て真言の大我を觀ず−『梵網経開題』
仏教経典群のみならず古今東西の諸文献を渉猟し
弘法大師空海の密なる世界を開顕した一書
第一章 普遍的根源者―空海と大日如来―
1.密教は法身大日の教法である/2.法身とは何か:仏身観と法身説の形成/3.空海密教での法身の諸相 4.毘盧遮那・大日如来/5.毘盧遮那の本源的特性:光明と太陽神/6.法を説く絶対者の説教構造
第二章 円とマンダラの普遍構造
1.元型・祖型/2.マンダラが象徴するもの①:円・中心・コスモス/3.マンダラが象徴するもの②:円=時間・永遠・起源/4.マンダラが象徴するもの③:円=理法との邂逅、聖化の場/5.円の象徴性の総括とマンダラへの展開/6.普遍構造としてのマンダラ:悟りと救済
第三章 重重帝網なる即身の宇宙
1.『即身成仏義』での重重帝網/2.帝網=インドラの網/3.鏡中の光と渉入/4.帝網の比喩:壮麗なる華厳宇宙とその直接的源泉/5.空海のテクストに見出される帝網の比喩/6.[補遺]インドラの網の普遍性について
第四章 神秘主義における一者合一の系譜―空海の即身成仏思想との関わりにおいて―
1.空海密教での「成仏」の概念/2.悟りと救いの普遍構造「一者合一」:①密教/3.悟りと救いの普遍構造「一者合一」:②梵我一如/4.悟りと救いの普遍構造「一者合一」:③ギリシャ神秘哲学/5.悟りと救いの普遍構造「一者合一」:④キリスト教―聖体の秘蹟・恩寵
6.悟りと救いの普遍構造「一者合一」:⑤イスラーム神秘主義
7.まとめに代えて/8.[補遺]近代文学における神秘的合一表現の例:ドストエフスキイ、プルースト
第五章 空海密教と象徴原理
1.空海密教における象徴/2.象徴主義的思考と真理読解の普遍性
第六章 空海の深秘の世界
1.秘にして深奥:迷妄と解き明されるべき仏の智慧/2.仏の種(仏性・如来蔵)という秘蔵された宝/3.秘にして奥:深秘なる如来の智慧/4.読み解かれる仏の智慧/5.解読された深秘の宝蔵
終章 空海と「世界=真理の書物」というメタファーの普遍性
1.「乾坤は經籍の箱なり」/2.「世界=真理の書物」のメタファー
小渕尊史(おぶち・たかふみ)
1964年 佐賀県佐賀市生まれ
1990年 東京大学大学院人文科学科修士課程仏語仏文学専攻修了
2013年 真言宗豊山派正入山西光院に入山
2021年 大正大学大学院仏教学研究科仏教学専攻博士(博士後期)課程修了
2024年3月現在 正入山西光院副住職、大正大学非常勤講師