評=辛嶋静志〈創価大学国際仏教学高等研究所(教授)所長〉

 
ゆいま辛嶋仏タイ

仏教タイムス2019.7.25

高橋尚夫編著〈全五巻完結しました〉

〈Ⅰ〉
仏国品第一・方便品第二


佛光大學佛教學院・萬金川院長の推薦文「合本解経から諸本会勘に到る文献学釈読の路」を収録。ガンジス河中流にあるヴァイシャーリーのアームラパーリーの園林で八千人の比丘、三万二千人の菩薩を前に仏陀が法を説く壮大な場面からはじまります


〈Ⅱ〉弟子品第三・菩薩品第四


仏陀が十大弟子と菩薩たちに維摩を見舞うよう頼むものの、みな過去にやり込められたことを語って断ります。いったい維摩はどのように仏教を説いたのでしょうか……▶口絵 : 維摩居士像


〈Ⅲ〉問疾品第五・不思議品第六・観衆生品第七


巻頭に、ラモットの仏訳『維摩経』を英訳したサラ・ボイン= ウェッブ女史のイントロダクション等を収録。本文ではいよいよ維摩居士が登場し、文殊菩薩との対論に仏教の本質が説かれはじめます

〈Ⅳ〉仏道品第八・入不二法門品第九・香積仏品第十


〈菩薩が行くべきではない道を行く〉ことを説き菩薩の意味を明かす「仏道品」、有名な〈維摩の一黙〉が示される「入不二法門品」、そして激しい論争から一転して香りの食事を囲む「香積仏品」を収録。巻頭に、陳士濱氏(宏国徳霖科技大学教養学部副教授)が「龍蔵本『維摩詰所説大乗経』訳本について」を寄稿


〈Ⅴ〉菩薩行品第十一・見阿閦仏品第十二・法供養品第十三・嘱累品第十四 


舞台は再びブッダの許へ。そこで菩薩の解脱、如来と仏国土の顕現が説かれ、本経の教えの供養と大乗仏教の委嘱がなされる▶巻頭に、ラモット先生の思い出 : 加藤純章〈名古屋大学名誉教授〉を収録