タイトル:弘法大師の手紙
著 者:福田亮成(大正大学名誉教授・智山専修学院前院長)
本体価格2,500円+税
A5判/上製/カバー装
総頁:168ページ
刊行年:2007.06.15
ISBN4-931117-88-0
[品切・重版準備中]
弘法大師のご生涯における重大な局面を、大師の肉声に充ちた手紙のうちより、二十二紙を厳選して探る。
それらは六種あるいは七種ぐらいに分類できます。
その中の一つのグループに、弘法大師の書簡類を蒐集したものがあります。
まず、『遍照発揮性霊集』がそれです。これは高弟の一人、真済(八〇〇~八六〇)が編纂したものです。
真済の記した「序文」には、「夫ず、纔に了るに競い把らざれば 再びこれを看るに由なし」とあり、
弘法大師は、草案の下書きなどはしないので、詩文などを書いた場合にはすぐにその原稿を書き写さなければ、もう再び見ることができない有り様です、とのべています。
大師の文は推敲を重ねるというのではなく、一気に書きあげるというものだったようです。
さて、もう一つあります。それは『高野雑筆集』といいます。これを編纂した人物は不明ですが、おそらく前書と同様に真済が書きとめていたものではないかと思います。
この書は大師が折にふれて発した手紙類を集めたもので、総計七十四首の書簡が収められております。
それをここでは特に、「弘法大師の手紙」と銘打って、任意に取り出し、現代語訳をして、人間弘法大師の呼吸を自分の呼吸としたいと思います。